日本が試されるTKB
イタリアは、海に面し、国土に高山を抱え、地震、火山、雪崩、洪水と、日本に似て自然災害が多い。避難所のカギはTKBだという。
▼清潔なトイレ(T)、温かい食事を作るキッチン(K)、寝起きしやすいベッド(B)。避難所の国際基準だそうだ。家族で過ごせるテントも備え心身の健康を保ち、健康被害や死亡者を減らす。
2016年の熊本地震では犠牲者の約8割が、「災害関連死」だった。避難体制などを工夫すれば救えたはずの命だった可能性がある。能登の地震から12日たち、関連死とみられる死亡者がじりじり増えている。
▼欧州の手厚い避難所の源流は第2次大戦中のロンドン空襲という分析がある。地下鉄構内に市民が押し寄せホームで雑魚寝し、劣悪な環境から病人が増えた。政府はただちに多数の簡易ベッドを準備したという。日本は数々のつらい経験から何を学び、どう想像力や優しさを育み「次」に備えて来たか。いま試されている。
日本経済新聞 春秋:2024.1.13
私たちは、「優しさと想像力」をもって備えなければなりません。