人間は考える葦である:パスカル
【考える葦】かんがえるあし
小学館 デジタル大辞泉
パスカルの「パンセ」の中の言葉。「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」として、人間の、自然の中における存在としてのか弱さと、思考する存在としての偉大さを言い表したもの。
パスカルといえば、思想家としての側面が強い一方、物理学や幾何学など幅広い学問にも才能を発揮し、科学者や数学者としても知られている。
例えば、密閉容器内に入った物体は、固体・液体・気体のいずれにおいても各部分にかかる圧力が等しくなるという「パスカルの原理」(物理学の基本として広く知られている)。
また、円に内接する六角形の対応する辺の交点は、同一直線状に並ぶという「パスカルの定理」も有名。この原理はパスカルが16歳のときに証明し、現代でも幾何学上のさまざまな問題を解く際に用いられているそう。
ここからが大事。「人間は考える葦である」には続きがある。
人間を押しつぶすためには宇宙全体が武装する必要はなく、蒸気や一滴の水でも人間を殺すことはできるだろう。もし宇宙が人間を殺しても、人間は尊い。なぜなら、人間は自分自身の死を理解している点で、宇宙よりも尊厳のある存在といえるのだ。人間の尊厳は、すべてその思考の中にある。よく考えることに努めよう。考えることにこそ、道徳の原理があるのだ。
〈考える葦の大事な3つの要点〉
・小さくか弱い存在としての人間
・思考力を持つ存在としての人間
・考えて出した答えがその人を表す
つまり、人は「人間らしく生きる」ためには考えなくてはならないということなのだ。インターネットが発達した現代において、AIに正解を見つけてもらうことは簡単なこと。しかし、チャットなんちゃらが見つけた正解は、決して私たちの思索から生まれたものではない。尊厳ある人間でいるためにも、自分で考え、自分の意見を持つことがどれだけ大切なことか。AIに覇権をとってかわられてしまう前に、パスカルの葦になってしっかりと考えたい。