メニュー
Information

活動報告

減る体力・増える肥満

小中学生の「体力合計点」が過去最低を記録した。

 映像を視聴する時間「スクリーンタイム」が増える中で、運動時間はコロナ禍以前の水準に戻っておらず、肥満の割合は小5の男女と中2男子で過去最高となった。

 学習以外でテレビやスマートフォンに触れる「スクリーンタイム」が1日4時間以上の子どもは、小5男子27・1%▽小5女子22・0%▽中2男子28・3%▽中2女子26・1%で、いずれも前年度より増えた。また、朝食を取ったり、8時間以上の睡眠を取ったりする子どもが減り「生活リズム」の乱れもみられた。

 スポーツ庁は、生活習慣の変化が子どもを運動から遠ざけ、コロナ禍が拍車をかけたことが、体力低下の背景にあるとみる。1週間の総運動時間が7時間以上の子どもの割合は、各年代でコロナ禍前の水準に戻っておらず、前年度からの改善幅が最も大きい小5男子でも50・1%で、5年前を5ポイント程度下回っている。

 一方、子どもの肥満の割合は、小5男子14・5%(前年度13・1%)▽小5女子9・8%(同8・8%)▽中2男子11・4%(同10%)となり、中2女子を除いて過去最高だった。

 スポーツ庁は、コロナ禍でマスクを着ける習慣が根付き、息苦しさがあるために、激しい運動を避ける傾向があったことも、運動時間や体力が低下したことの一因にあるとみる。20年以降、各教育委員会などを通じて、体育の授業では「着ける必要はない」と周知してきたが、学校現場では感染リスクを懸念し、マスクを着けたまま運動をさせる例が後を絶たなかった。

 ただ、コロナ感染が収束し、以前の日常に戻ったとしても、体力の劇的な改善は期待できない。全国体力テストの分析に携わった中京大スポーツ科学部の中野貴博教授(発育発達学)は、体力合計点の低下は19年ごろからみられる傾向だと指摘し「コロナの影響は無視できないが、そのせいだけではない」と強調する。

 近年、子どもの生活時間の構造が変化し「生活の中には、(スポーツ以外の)習い事やメディア接触にかける時間もある。日常でスポーツをする重要性を発信した上で、生活の中に運動の時間をどう入れていくかという発想が必要だ」と話した。

毎日新聞

日本の子どもが危ない。