世界30カ国の中で、日本は「生活の質」への満足度や期待値が最も低い――。
フランスに本部を置く世論調査会社イプソスが、日本を含む世界30カ国を対象にした調査でそんな現状が浮かび上がった。
イプソスは2024年12月~25年1月、欧米やアジアなど各地域にある30カ国の計2万3765人を対象に、幸福度についてオンラインで調査。日本では約2000人が回答した。
幸福感について、①とても幸せ②どちらかといえば幸せ③あまり幸せではない④まったく幸せではない――の4択で聞いたところ、日本では①と②の回答が60%にとどまり、30カ国中27位だった。平均の71%を大きく下回った。24年公表の前回調査(57%)からは3ポイント増えたものの、11年の初回調査(70%)と比べると10ポイント減っている。
幸福度が最も高かったのはインド(88%)で、オランダ(86%)、メキシコ(82%)が続いた。逆に最も低かったのはハンガリー(45%)で、トルコ(49%)、韓国(50%)が後を追った。
なぜ日本では幸福度が低いのか。
幸せではないと答えた日本の回答者に理由を聞いたところ、最も多かったのが「経済的な状況」で64%を占めた。次に多かった「自分の人生には意味があると感じる」(27%)を大きく上回っていた。
一方、幸せを感じる理由で最も多かったのは「家族との関係」(41・1%)で、僅差で「感謝されている/愛されていると感じる」(41・0%)が2位だった。
日本で特徴的だったのは、「生活の質」への満足度の低さだ。「現在の自分の生活の質はとても高い」と答えた比率が、日本は13%と30カ国で最も低かった。平均(42%)の半分にも満たず、日本の次に低かったハンガリー(22%)や韓国(24%)と比べても低さが際立った。
将来への期待値も低い。「5年後には全体的な生活の質は今よりもずっと良くなっている」と答えたのも15%にとどまり、30カ国で最低だった。高かったのは順にコロンビア(79%)、インド(78%)、アルゼンチン(76%)、インドネシア(76%)、メキシコ(76%)だった。
日本の幸福度が低いことについて、イプソス日本法人の内田俊一社長は「経済的に苦しいと感じることが、幸福感に大きな影響を与えているようだ。一方、幸せと感じる要因は『家族との関係』が1位となっており、身近な人との良好な関係性や感謝、愛を感じる価値観が広がれば日本人の幸福度も向上する可能性がある」とコメントした。【岡田英】毎日新聞
