“三菱商事のいう「ゼロベース」とは何なのか、政府による救済はあるのだろうか”と、衝撃の記事!
昨年、この事業者から銚子沖の事業計画の説明がユートピアセンターで行われ、私も議員として参加しました。提示された資料はケアレスミだらけで、「こんな大プロジェクト、しかも洋上に建造物となると1ミリの誤差で大事故につながるのではないか。ダブルチェックをしているはずの資料でこの有り様では、プロジェクト自体の信頼性に欠ける」と、意見しました。20年も30年も先のことに責任を持とうとしている人が、このプロジェクトの中には誰一人としていないことを痛感した説明会でした。
そして、昨日のこの記事。最初からやる気がなかったのではないかと、今となっては疑いますね。
「業界常識からはありえない低価格」で三菱商事コンソーシアムが選定された」ことに端を発したこの危機。国も三菱商事コンソーシアムも本当に無責任‼ゼロベースに戻す⁉ 政府の救済⁉ 価格に転嫁⁉ 冗談じゃないですよ。安く手を挙げたもの勝ちのやり方を容認して、やっぱり駄目でしたはないでしょう。痛い目に遭うのはいつも国民!国民の生活はどうなる!日本の未来はどうなる‼
三菱商事はR1の3事業について、世界的なインフレの加速や円安、金利上昇などが、当初想定を大きく上回ったことから、再評価を行うとしている。実際、近年のインフレによる影響は甚大だ。ただ、ことの発端は、三菱商事らのコンソーシアムがR1を圧倒的な低価格で落札したことにある。
R1は再エネ海域利用法に基づく最初の入札で、募集海域は「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の3カ所だ。当時、いずれの海域も複数の事業者が競合したが、三菱商事コンソーシアムが圧倒的な安値で3海域を総取りした。2021年12月24日のことだ。
政府が提示していた入札上限価格は29円/kWhだったが、三菱商事コンソーシアムの落札価格(出力)は3海域それぞれで、13.26円/kWh(49.4万kW)、11.99円/kWh(84.5万kW)、16.49円/kWh(40.3万kW)。この落札金額は、競合の2分の1~3分の2という低価格だった。
あまりの低価格に、競合した他事業者を含めて、風力発電業界が騒然としたのは記憶に新しい。R1の公募占用指針(入札ルール)に運転開始時期の制限がなく、三菱商事コンソーシアムの運転開始時期が競合に比べて遅かったことや、価格の評価点が圧倒的に高かったことなどが問題視され、その後の入札ルール見直しの契機にもなった。
なお、コンソーシアムのメンバーは、三菱商事、子会社の三菱商事エナジーソリューションズ(現三菱商事洋上風力、東京・千代田)、シーテック(名古屋市)、風力発電事業者のウェンティ・ジャパン(秋田市、由利本荘市沖のみ)である。当初は三菱商事と中部電力が折半で入札する予定だったが、中部電力が電力販売に関するカルテル問題を抱えていたことから、グループ会社のシーテックが代理参加した経緯がある。
あれから3年、中部電力と三菱商事が、相次いで減損処理を発表した。シーテックの親会社である中部電力は2月3日、2024年4~12月期決算で179億円を減損処理すると発表した。2月6日には、三菱商事が522億円の減損処理実施を発表した。三菱商事の中西勝也社長は同日の記者会見で3海域の事業について「ゼロベースで今後の方針を検討する」と発言した。
コンソーシアムにおけるシーテックのシェアは未公開だが、今回の減損処理の前提条件が同一とすると、最大で25%となる。なお、ウェンティ・ジャパンが減損処理するかどうかは、本稿執筆時点では未公表である。
洋上風力は脱炭素、そして新しい成長産業の切り札として、政府の「GX実現に向けた基本方針」や「エネルギー基本計画案」に明記されている。
洋上風力は大規模で、比較的高い利用率と安定的な出力、そしてEEZ(排他的経済水域)を含めると膨大な資源量がある。産業のすそ野が広く、港湾・送電網などのインフラ整備を伴い、産業・地域振興に大きく貢献する。一方で巨大投資、計画から運転開始までの長いリードタイム、20年以上に及ぶ海上での運転などのリスクがある。
このため「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」が2020年12月に策定した「洋上風力産業ビジョン」には、「積極的に、一定の時間をかけて着実にサプライチェーンを整備しコスト低下を図る」と記載されている。
R1は、洋上風力を産業として軌道に乗せるという使命を負った、失敗の許されない事業だ。だからこそ、当初は事業実績や地域調整を重視する設計で進められていた。しかし、最終的な公募占用指針は価格を最重要視した評価方法となり、「業界常識からはありえない低価格」で三菱商事コンソーシアムが選定された。これにより国内サプライチェーン整備を含め長期的な見通しが不透明になったことは否めない。
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