
昨年は、芥川賞・直木賞共に受賞作品が無かったところ、今年は、芥川賞2作品、直木賞1作品が選ばれた。
早速、直木賞作品の購入を試みたが、すでに予約販売。
第174回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が14日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は鳥山まこと氏(33)の「時の家」(「群像」2025年8月号)と畠山丑雄氏(33)の「叫び」(「新潮」同12月号)、直木賞は嶋津輝氏(56)の「カフェーの帰り道」(東京創元社)に決まった。
贈呈式は2月下旬に都内で開かれ、受賞者には正賞の時計と副賞100万円が贈られる。
鳥山氏は兵庫県生まれ。2023年「あるもの」で三田文学新人賞、25年「時の家」で野間文芸新人賞を受賞。芥川賞は初の候補入りで受賞が決まった。受賞作は一つの平屋を舞台に、3代の住人を「家」の視点から眺めた小説。建築士でもある鳥山氏は「基礎から積み上げる書き方になった」と回想した。選考委員の平野啓一郎氏によると「スピードが求められる世の中で、ディテールにこだわって描写し尽くした」との評価を得た。
畠山氏は大阪府生まれ。15年「地の底の記憶」でデビュー。芥川賞は初の候補入りでの受賞決定。受賞作の主人公は大阪府の茨木市役所に勤める30代の公務員。生活保護で暮らす謎の「先生」と出会い、市内の遺跡の出土品をモデルにした銅鐸(どうたく)づくりを学ぶうちに、地域史にのめり込む。主人公を通して、戦後日本が抱える欺瞞(ぎまん)を喝破した。同市在住の畠山氏は「茨木は縁もゆかりも無かったが、偶然を必然にすることができた。ありがたい噓をつくることができた」と喜んだ。平野氏は「非常に低俗な話から郷土史にアクセスし、戦中の満州に接続するスケールの大きさ」を高く評した。
直木賞に決まった嶋津氏は東京都生まれ。16年「姉といもうと」でオール読物新人賞を受賞。直木賞は2回目の候補入りで受賞が決まった。受賞作の舞台は東京・上野にあるカフェー。大正から昭和にかけて女給として働き、それぞれの道を見つけていく個性豊かな女性たちを描き出した。嶋津氏は「書き進めるうちに(登場人物に)幸せになってほしいと思った」と振り返る。選考委員の宮部みゆき氏は「大戦から戦後までの空気感を知っている世代が存命だが、十分に時代の空気を出している」と語った。
日本経済新聞:2026.1.114
