「地球の客のなんという無作法」
6月の梅雨明けは、1955年以来実に70年ぶりだそうだ。
今日もとても暑かった。夜も高温に気を付けるようにと、天気予報が言っている。
「三月に五月みたいな日が、一日だけあるのってのはいいな」。谷川俊太郎さんが40年以上前のエッセーに書いている。昼間は季節を少し先取りしたような、でも夜はやっぱり本来の時候と感じる、そんな一日。四季の記憶と移ろいを繊細にかぎとる詩人の感性だろう。
▼6月に8月みたいな日が、何日もあるのってのはいやだな。こちらは詩情のかけらもない、当方の愚痴である。今年はずいぶん暑い梅雨だと思っていたら、きのう西日本にもう梅雨明け宣言が出た。確定すれば多くの地域で史上最も早い記録になるそうだ。
今月中旬の猛暑は人為的な温暖化が原因だったと、東大と京大の研究チームが分析した。
詩人に「地球の客」と題する一遍がある。「いつの間にか/主人になったつもり/文明の/なんという無作法」
日本経済新聞 春秋:2025.6.28