酪農の苦悩
〈はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る〉。酪農家の訴えを聞き、石川啄木の歌が頭をよぎった▼経営に行き詰まり、やめる酪農家が相次いでいる。指定団体に生乳販売を委託している酪農家の数が、はじめて1万戸を下回った。この5年間で約4分の1が減ったことになる。
▼酪農家の減少は地域経済を疲弊させ、地方は衰退する。会見で埼玉県の酪農家、吉田英子さんは訴えた。「(牛糞)堆肥で野菜を作り、その残さが牛の餌になる。小さな牧場が地域にあることで循環は成り立つ。これ以上仲間を減らさないようサポートしてほしい」▼酪農の苦悩は続く。この窮状に終止符を打ち、「楽農」を築きたい。「ぢっと先を見る」
日本農業新聞 四季:2024.12.3
旭市にとって、決して他人事ではない、酪農の苦悩。
「高齢化や後継者不足で減少が続く」、「飼料価格の高騰や子牛価格の低迷が追い打ち」、「酪農家の約60%が赤字と答え、約半数が離農を検討していた」(中央酪農会議11月調査)。
この窮状を救う手立てを、行政も消費者も自分事として考えなければならない。