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活動報告

「壁」論議

「壁」論議がたけなわである。「手取りを増やす」と唱えて衆院選で躍進した国民民主党は、年収103万円を超えると所得税がかかる「壁」の解消を迫って鼻息が荒い。過半数を割った与党は、増えたとはいえ28議席の政党のご機嫌を取り結ぶのに大わらわのようだ。

▼国民民主の公約を受け入れ、非課税枠を178万円まで広げると7兆~8兆円も税収が減るというから悩ましい。さっそく全国知事会などが懸念を示している。落としどころが見えないうえ、社会保険料の納付によって手取りが減る「106万の壁」や「130万の壁」の問題も指摘されて話は拡散するばかりである。

▼身近なテーマはかくも注目を集めるが、それよりもはるかに巨大な壁が崩れた出来事を思い起こしてもいい。35年前のきょう、東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」を市民が倒し、世界は大きく変わる。

日本経済新聞 春秋 2024.11.9

「ベルリンの壁」を壊した国は今、名目GDPで日本を抜いて第3位。日本は抜かれて第4位。

壁を壊せないでいるのは日本だけか。103万だ、106万だと小さな壁を壊すことに躍起で、本当に壊さなくてはならない「壁」論議には、なかなかならない。

養老孟司さんの「バカの壁」か、はたまた責任を取りたくない政治家が敢えて作り上げるダミーの壁か。