「人生は歩く影法師」
ラジオ体操の後、年代物のラジオのスイッチを左に回そうとして手を止めました。養老孟司さんの声が聞こえてきたからです。医者になるまでの30年間、医者としての30年間、そしてその後の30年間が今で、死と向き合う上での人生観が語られていました。
そして、流暢な英語で、学生時代に覚えさせられた(?)というマクベスのセリフを紹介されました。
“Life’s but a walking shadow”
心にずしりと響くことばでした。
《原詩》
Tomorrow, and tomorrow, and tomorrow,
Creeps in this petty pace from day to day,
To the last syllable of recorded time;
And all our yesterdays have lighted fools
The way to dusty death. Out, out, brief candle!
Life’s but a walking shadow, a poor player,
— from William Shakespeare, “Macbeth” (Act 5, Scene 5, lines 17–28)
明日、また明日、そしてまた明日と、
記録される人生最後の瞬間を目指して、
時はとぼとぼと毎日の歩みを刻んで行く。そして昨日という日々は、阿呆どもが死に至る塵の道を
照らし出したにすぎぬ。消えろ、消えろ、束の間の灯火!人生は歩く影法師。哀れな役者だ。
新訳 マクベス 第5幕第5場 河合祥一郎訳 角川文庫