英紙ガーディアンは14日、アフリカ南部のジンバブエがゾウ200頭を殺処分すると報じた。干ばつによる食料難に対応するためで、肉は食料として利用する。個体数が増えすぎていることを理由の一つに挙げているという。
同紙によると、ジンバブエは大規模な干ばつのために非常事態を宣言。国民の42%が貧困状態に置かれ、今後600万人が食料支援を必要としている。
ジンバブエの環境相は11日、国内に「必要以上に多くのゾウがいる」と国会で説明。野生動物関連の局に対し、殺処分の手続きを始めるよう指示したことを明らかにした。
米政府系放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、環境相は殺処分したゾウについて「肉を乾燥させて梱包(こんぽう)し、たんぱく質を必要とする地域に届けられるようにする」と述べた。
ジンバブエ国内の自然保護区には受け入れ可能な数の4倍以上に当たる6万5千頭のゾウが暮らしている。
■ナミビアも干ばつでゾウなどの食肉利用を計画
米紙ニューヨーク・タイムズによると、アフリカ南部のナミビアも83頭のゾウを含む700頭以上の野生動物を殺処分して食肉にすることを計画している。過去100年で最悪の干ばつに伴う食料難に対処するためだという。
英紙ガーディアンによると、ナミビア政府は殺処分する83頭のゾウについて、国内に生息する推定約2万頭のごく一部であるとの見解を示している。
地の自然保護活動家は同紙に対し、「ゾウが継続的かつ幾何級数的に増加することを許せば、(ほかの)動植物の生息環境に壊滅的な影響を与える」と指摘。ゾウが増えすぎることがほかの生物種に悪影響を与えるとし、こう付け加えた。
「これらの種は、ヨーロッパ中心主義の現場を知らない自然保護活動家からはあまり重要視されていない。(しかし) それらの種もゾウと同じくらい重要なのです」(佐藤達弥)