人口減少と高付加価値
日本では2042年から本格的な人口減少が始まる。
人口を増加させることは難しいため、人口減少を前提にどうしていくのかを考えなければいけない。人口減少時代において、生産性・成長を維持していく経済モデルを作ることが大事になってくる。
「まだ日本が経済大国でいられるうちに、戦略的に縮める必要があります。これまでの産業を維持していこうと思うと、どこの分野も人材不足になってきて維持できません。日本は各分野に産業があるので、捨てるものは捨てて残すものは徹底してよくしていくべきでしょう」(河合氏)
具体的には、日本より人口が少ないドイツやフランスなどのヨーロッパ型を目指すべきだと河合氏は提言する。例として挙げるのは、自動車会社フォルクスワーゲンのポルシェというブランドだ。
ポルシェの昨年の売り上げは約28万台で約50億ユーロの営業利益があった一方、フォルクスワーゲンの売り上げは約457万台で営業利益は約25億ユーロだった。フォルクスワーゲンがポルシェと同じ利益を生み出すには、900万台近く売らねばならない。
ここから言えることは何か。
生産量も労働者も消費者も激減する日本にとって、「高品質なものを高付加価値で売る」というモデルを築き上げることが急務となるということだ。
河合雅司
今すでに日本は「高品質なものを高付加価値で売る」社会だと思う。今以上を求めると、高付加価値で売られる高品質なものを買える人たちしか、日本では生きていけなくなる。高付加価値が付けられない産業従事者は職を失い、さらに格差社会になる。若年層は結婚しなくなり、少子化はどんどん進む。日本の人口減少に拍車をかける、と思うのだが。