「女性のがんは女性が診ることが望ましい」
とても共感を覚えます。「体」とか「病気」とか一括りにしてほしくない、女性にしかわからないことが女性にはあります。
女性のがんの治療や検診に貢献したとして、さいたま市の東大宮クリニック院長の高橋道子さん(80)が今年度の日本対がん協会賞に選ばれた。「一緒に働いた看護師さんや技師さんたちの仕事が高く評価されたことがうれしい」と謙虚に喜んでいる。
新潟市生まれ。中学生のころ、活躍する女性が紹介された本を読んで「私も自分の力で人を助ける職業に」と医師を目指した。
新潟大医学部を卒業後、東京の国立がんセンター(当時)などを経て埼玉県立がんセンターへ。婦人科副部長を務め、2009年に埼玉県健康づくり事業団の診療所長になった。
55年にわたる医師生活で、一貫して婦人科領域のがんに関わってきた。力を注いだのは、精度の高い検査と、検診の普及だ。
「女性のがんは女性が診ることが望ましい」
そう考え、恥ずかしさなどから敬遠されがちだった検診の必要性を講演会や看護学生の授業などで訴えた。採取した細胞からがんを見つける検査方法をいち早く導入し、早期発見につながる精度の高い検診を広めてきた。
精神科医の妹と6年ほど前に開いたクリニックで、いまも診察を続ける。自身は健康に恵まれ、「今回選ばれたことを励みに、これからも研鑽(けんさん)を積んで地域に良い医療をしていきたい」と向上心にも衰えはない。
朝日新聞デジタル