ゴールデンウイークも今日で終わり。小学校・中学校とそれぞれ一年生になったばかりの孫たちが、明日は学校に戻っていく。長い休みの後は、新しい環境に慣れないストレスで、なんだか登校がおっくうになっていないかなと、ちょっと心配になる。果たして、先生方のゴールデンウイークはどうだったろうと思っていたら、今日の社説は、「教員不足を解消するには」、「確実に休暇を取得できる職場の実現が急務」という記事。確かにこの休みも部活担当の先生は出勤されていたようだ。
地域社会や保護者の理解と協力を得て、教員の本務である授業に専念できる職場環境を国、地方が一体となり加速する必要がある。
文部科学省が公表した2022年度の教員勤務実態調査によると、過労死リスクが高まる月80時間を超す残業をした教員の比率は前回調査(16年度)に比べ小中学校とも20ポイント程度改善した。
この結果、平日1日あたりの勤務時間は小中学校で約30分短縮された。一歩前進だ。しかし、新型コロナウイルス下で学校行事が減った状況での調査であることも留意すべきだ。国が指針で定めた月の残業の上限45時間を超えて働いた教員の比率は小中でなお6〜7割に達する。
深刻なのは若者の教職離れだ。「ブラック職場」と受け止められ21年度実施の公立小の採用倍率は過去最低の2.5倍に。本紙の調査では昨年5月の全国の公立校の欠員は2700人。退職・休職者が増え最近はハローワークで求人をする教育委員会も増えている。
政府は今回の調査を踏まえ教員の待遇改善の議論を本格化する。教員に残業代の代わりに月給の4%相当の教職調整額を支給すると定めた現行法の改廃が焦点だ。
前回調査の勤務実態で仮に残業代を支給した場合、国と地方で約9000億円の財源が必要だ。国は今回調査に基づく試算も示し現実的な議論をする必要がある。一方、自民党は調整額を4%から引き上げ、部活動の顧問などに新たな手当を支給する案を検討する。
いずれにせよ、現在の働き方を前提とした待遇改善策にとどまれば、教職志望者を増やすことは難しい。部活改革などで時短を可能な限り進め、確実に休暇を取得できる職場の実現が急務だ。
問われているのは、持続可能な公教育のあり方だ。主に教育委員会にその責を負わせるのは無理がある。地域の要望を予算を通じて実現する首長のリーダーシップに委ねられた政策課題でもある。
日本経済新聞:2023.5.7