絵本の本質をとらえた絵本
1977年10月が第一刷なので、45年前から読み続けられていることになる。
私はこの絵本が好きだ。子ども達に読み聞かせる時も、ひとりで読む時も、最後は必ず涙を抑えきれない。園児たちは、「なんでえんちょうせんせいはないているんだろう」と思っていたはずだ。もしかして今頃、親になった園児さんが我が子にこの絵本を読みながら、最後は声が詰まってそっと涙を隠しているかも知れないなぁ、なんて想像したりする。
これはひょっとすると大人のための絵本かもしれないが、真に大人のための絵本ならば、子どももまた楽しむことができよう。それが絵本というものの本質であるはずだ。そして「100万回生きたねこ」は、絵本の本質をとらえている。
週刊朝日書評より